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電力専科



巨大な電波塔と五重塔の心柱(しんばしら) 
                                     
  ★ はじめに ★ 

高さ世界一の「電波塔:東京スカイツリー」は、平成24年5月22日に開業しました。(2012.5.22)

アマチュア無線家でしたら、この電波塔から、一度は電波を出してみたいと思いますよね!(実はハム運用の許可は出ないそうです・・・)

ところで、世界遺産の日光東照宮は、東京スカイツリーの開業日に合わせて、平成24年5月22日から五重塔(国指定重要文化財)の内部を初めて公開しました。
【心柱の公開です】  
(平成 25.3.31まで)

重文「五重塔内部初公開」が実現したことは・・・。
福島第1原発事故などの風評被害で日光地区も観光客の減少が続いており、それを払拭するために、また、東武鉄道と日光観光の古くからのつながりにも関係があるようです。



私も、見学してきました。 (2012.7.4)


その時配布を受けた「五重塔と東京スカイツリー」をデザインしたクリアファイルのコピーです。






 さて、ここからが、核心です 


 五重塔の心柱(しんばしら)の説明の際、観光案内係が「東京スカイツリーは、この心柱耐振システムを応用しています」と観光客に説明していました。

私は、これを聞いて驚いてしまいました。
(説明は間違っています)

本当は!!!
世界初の制振システムです。

東京スカイツリーには、世界初の制振システムが採用されました。
それは、五重塔からダイレクトに取り入れたシステムではなく
「質量付加機構」という既知の制振技術を巨大な電波塔の制振に応用したものなのです。



五重塔の心柱は、宗教的なものと言われており・・・

@ 心柱が振子となって制振効果があるという説。
A 心柱と塔体の振動が牽制し合って効果があるという説
B 一層ごとに互い違いにくねくねと揺れることで倒れないという説。
C そもそも木組でできているので接合部には「遊び(余裕)」があるのでそこで力を吸収できるという説。

など、さまざまな説があり、未だ100%の解明がされていないようです。

ただ、心柱が、如何なる意図ならびに型式をもって立てられたにせよ木造層塔の制振に寄与しうるものであると、上田篤氏は著書「五重塔はなぜ倒れないか」(1996年)で結論づけています。



【追 記】
2013/02/25(H25)

平成25年2月25日 16時23分ごろ関東地方で強い地震があり、気象庁によると、最大震度は栃木県日光市で5強が観測された。
震源は栃木県北部で、震源の深さは10キロ。マグニチュードは6.2。

日光東照宮など世界遺産「日光の二社一寺」には大きな被害は確認されていない。(五重塔も無事でした)



さて肝心の
「東京スカイツリー心柱」のことですが以下の通りです。


東京スカイツリー「制振システム」のネーミング

実は・・・・・。
東京スカイツリーの制振システムの、形や構成が「五重塔心柱」に似ているので「心柱制振」と、あとから名付けたそうです。
「東京スカイツリー物語」 日建建設 慶伊道夫 氏


そこで
今回のテーマは「巨大電波塔と五重塔の心柱」としました。

これからの、お話は「日光東照宮五重塔心柱」と「東京スカイツリー心柱」について、例によって「写真」と「図解」で進めます。
更なる詳細は、読者ご自身で、ご研究されてください。
なお、以下の内容は、私の調査したもので、専門家ではありませんから、その内容に間違いがあるかもしれません。あらかじめ、ご承知おきください。

       1.日光東照宮五重塔 心柱 


五重塔は若狭(福井県)の小浜藩主、酒井忠勝の寄進で慶安3年(1650)に建立されましたが、文化12年(1815)に焼失し、3年後の文政元年(1818)に忠勝の子孫、忠進によって再建されたそうです。

朱色を基調とし、彫刻などは極彩色で彩る豪勢な造りになっています。

初層から4層までは、屋根の垂木が平行の和様、5層は扇の骨のように放射状の唐様になっています。



塔の高さは約36m。内部は吹き抜けになっており、中心を貫く直径60cmの心柱(しんばしら)が4層(4階)から鎖でつり下げられ、その最下部は礎石の穴の中で10cmほど浮いています。

五重塔の「心柱の役割」は、耐震、耐風などから塔屋を護のではなく本来は、五重塔の最上部の相輪(九輪など)とバランスを取り相輪が損壊しないことを目的としたものなのです。



この「懸垂式」は実例が少なく、大変珍しい形態の心柱です。



強風や地震などで建物が揺れても、振り子状に動き、重心は常に 中心にあり振動を和らげる役目を果たしていると言われています。
↓懸垂用鉄鎖


↓ 礎石部の概略図


これは、心柱を地表から立てると、時を経て塔身が縮んだ際に心柱が五重の屋根を突き抜けてしまうので、そうならないための工夫であるとのことです。

心柱の最下部(礎石より約10cmほど浮いています)


礎石部は、腐食防止のため通風を良くし湿気を防いでいます。
照明中ですので内部が明るく見えます。
五重塔の脇から縁の下(礎石部)を覗き込みますと、心柱が浮いている様子がみられます。



「心柱」見物のための仮設テント(五重塔の背面です)
初層を飾る十二支の彫刻は、子(=北)、卯(=東)などで、それぞれ方角を表しています。



日光東照宮五重塔の「心柱」
現物の写真撮影は禁止です。下は解説写真ポスターです。



県外からの見学生徒達。・・・ メモをとる子もおりました。
●上述の・・・間違った説明は遺憾に思います。






◆ところで・・・

五重塔には心柱以外にも現代の建築技術の発想を超えた制震構造が用いられていると言われます。

その一つは、塔身の各重が鉛筆のキャップのように重なった柔構造になっている点。
もう一つは、組物の変形力や摩擦力が地震の揺れを吸収する点。

ですが、こうした五重塔のすぐれた特性については、今なお解明し尽されてはいないようです。


>> 参考 <<

更なる詳細の、ご研究は下記の書籍をお勧めします。

五重塔はなぜ倒れないか (新潮選書) [単行本]  上田 篤
ISBN978-4-10-600491-7         1996年2月20日初版発行

Amazon通販:古書でしたら¥500(税、送料込み)程度です。

日光東照宮の五重塔に関する新たな知見も得られることと思います。
私は、はじめ図書館から借りましたが良書なので一冊購入しました。



次は東京スカイツリーです

 2.東京スカイツリー「心柱制振」 


 ★ 心柱制振説の誤報? ★ 

ネット検索しますと次のような誤った記述が散見されます。
以下に列挙してみます。




 ★ 表現が良くない事例 ★ 

東京スカイツリーの心柱は東照宮五重塔心柱を参考にした。

東京スカイツリーもこの耐振システムを応用しているそうです。

この構造は地震や強風による振動を抑えることができ「心柱制振」と呼ばれるスカイツリーの耐震システムにも応用された。

東京スカイツリーには五重塔を参考にした「心柱制振」と呼ばれる地震緩和システムが導入されています。

日光東照宮五重塔は、塔の中心に心柱(しんばしら)が据えられその優れた耐震構造は高く評価されています。
東京スカイツリーもこの耐震システムを応用して設計された。

東京スカイツリーには、五重塔の「心柱」の構造を取り入れた「心柱制振」という技術が用いられている。

五重塔にならった(真似た)制振構造が東京スカイツリーに取り入れられている。



  ★ 本当は!!! ★ 

東京スカイツリーには、世界初の制振システムが採用されました。

東京スカイツリーのために新開発された「制振システム」の、形や 構成が、日本の伝統的木造建築物「五重塔」がもつ「心柱(しんばしら)」に、似ているので、ネーミングは募集日本古来の業への敬意を込めてあとから「心柱制振」と名付けたそうです

五重塔からダイレクトに取り入れたシステムではなく「質量付加機構」という既知の力学的原理に則ってコンピュータシミュレーションを駆使し、新開発された制振システムなのです。
−−−
五重塔の心柱は、外側の塔体と縁を切ってある構造で、上からぶら下がっていたり、下に刺さっていたり、いくつかの構造形態があり、屋根や周囲の架構は支えていません。
−−−


 ★東京スカイツリー制振システム構造 [質量付加機構]★ 


地震や強風時の揺れに対し、いかに安心・安全な建物とするか、さまざまに試みた結果、中央部に設けた鉄筋コンクリート造の円筒(=心柱)と外周部の鉄骨造の塔体を構造的に分離し、中央部の心柱上部を「重り」として機能させた、
新しい制振システムが用いられています。

原理としては「質量付加機構」という現代の制振技術を応用したもので大地震時に40%程度の応答せん断力を低減することができるそうです。

一方、日本の伝統的な塔である「五重塔」は、これまでに地震による倒壊例がなく、その秘密は、同じく建物中央の柱=心柱にあると推察されています。

634mという塔を現代の技術でつくろうと試みた結果、いわば、現代の最新技術と伝統的構法が出会ったわけですね。

そこで、今回の制振システムを五重塔になぞらえて、「心柱制振」と呼んでいるそうです。
「免震」ではなく「制振」です。



  ● 質量付加機構とは● 

地震時などに、構造物本体とタイミングがずれて振動する付加質量(=重り)を加えることで、本体と重りの揺れを相殺させて、構造物全体の揺れを抑制する制振システムのことです。

付加質量には、通常、鋼塊やコンクリート塊が用いられますが、質量の大きい設備機器や畜熱槽等を質量に利用する例もあります。

今回のように、心柱=階段室を付加質量に用いた例は世界初です。
http://www.tokyo-skytree.jp/archive/spec/structure.html







 >> 地上波デジタル放送と東京スカイツリーの役割 <<

幻想的な夜間照明の一つ。


東京スカイツリー概要
http://www.tokyo-skytree.jp/archive/elew/

東京スカイツリーの大きな役割は地上デジタル放送の送信です。

2003年12月より関東地方の地上デジタル放送が開始されておりますが電波の送信について都心部に林立する200m級超高層ビルの影響を受ける可能性が出てきました。

そこで600m級の新タワーからの送信が望まれたのです。

600m級の新タワーに移行すると、地上デジタル放送の送信高は現在の約2倍となりますので、年々増加する超高層ビルの影響を低減できると共に、2006年4月に開始された携帯端末向けのデジタル放送サービス「ワンセグ」のエリアの拡大も期待されています。

また、災害時には防災機能のタワーとしての役割も期待されています。


◆東京スカイツリーからの電波について◆

放送事業や通信事業では国の免許を受けて電波を発射することになるため東京スカイツリーから送信される電波の強さについても、当然電波防護指針を遵守した安全で安心な電波となります。

東京スカイツリーから最初の本放送・本運用が開始された後から2年間(計8回)東京スカイツリー周辺の電波環境の測定を行い、測定結果を東京スカイツリー/ホームページで公表しています。
  http://www.tokyo-skytree.jp/archive/elew/


◆東京スカイツリー周辺の電波環境測定◆

本放送等開始状況および予定(参考:総務省 Web Site より)
 http://www.tele.soumu.go.jp/j/sys/ele/index.htm

(1)タクシー無線(関東自動車無線協会)
   2012年3月 一部運用開始
   2012年4月 本運用開始
(2)マルチメディア放送(ジャパン・モバイルキャスティング)2012年4月1日 本放送開始
(3)FMラジオ(NHK、J-WAVE)
2012年4月23日 本放送開始
(4)TOKYO MX
2012年10月頃サイマル放送(東京タワーと東京スカイツリーの両方から放送)開始予定
2013年4月本放送(東京スカイツリーからのみ放送)開始予定
(5)テレビ在京6社(NHK、日本テレビ、テレビ朝日、TBSテレビ、テレビ東京、フジテレビ)
2013年1月頃 本放送開始予定

◆以上、筆者の理解の範囲内で五重塔と東京スカイツリーのお話をしてきました。

以下はご参考に掲載します。


画像をクリックすると拡大画像になります。
画面が出ましたら、
さらにクリックしますと拡大します。





《余談》

◆スカイツリーは、標高 0メートル地帯にあって、高さは634m。

日光東照宮の五重塔は標高 約 645mの日光山内にあって・・・
スカイツリーの高さに呼応するが如く屹立(きつりつ)してます。


◆東京スカイツリーの
中国語訳は当初「東京天空樹(ドンヂン ティエンコンシュー)」でしたが、中国ですでに商標登録されていたため、建設を進めてきた東武タワーススカイツリー(本社・東京都墨田区)は、中国語名称を「東京晴空塔(ドンヂン チンコンター)」に変更したそうです。



◆東京スカイツリーで
雷研究始まる!

2012年5月に完成した東京スカイツリーで、雷の研究が始まり
ました。
地上497メートル-に設置されたロゴスキーコイルによって、世界でも貴重な雷電流の波形を取得する計画です。
近年、IT化が進展したことで、コンピュータや電子機器の落雷被害が拡大・深刻化しています。
効果的な落雷対策につなげるため、雷の素顔を知る研究に世界が注目しています。
Yuo Tube 動画
 JSTサイエンスニュース(動画)  ←クリック一発





 主要参考図書 

ニッポンの塔(タワーの都市建築史)(河出書房新社) 橋爪紳也
                   ISBN978-4-309-62443-3

五重塔はなぜ倒れないか (新潮選書)      上田 篤
                   ISBN978-4-10-600491-7

東京スカイツリー物語(KKベストセラーズ) 松瀬 学
                   ISBN978-4-584-13373-6

東京スカイツリーの秘密(講談社)     瀧井宏臣
                   ISBN978-4-06-217556-2

 参考図書(写真)





どちらも「ふりがな」付きです





 参考 Site URL 

心柱しんばしらふしぎ 
http://pagoda.sakuraweb.com/pago11.htm

何故、五重塔は倒壊しなかったのか
http://noukakuken.jp/calture/calt1601.html

五重塔は耐震設計の教科書
http://pedpa.co.jp/library/tower.html

Yuo Tube
動画 法隆寺 五重の塔 心柱
https://www.youtube.com/watch?v=e2DEHZg3Ph8

東京スカイツリーのアウトライン
http://www.tokyo-skytree.jp/archive/
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