★ IC-910D-Lo/PLL化  (備忘録)、  PLL (Phase Locked Loop) ★


        ☆ はじめに ☆ 

       今回は、JR3REX(Tsuboi)さんからの、ご指導を得て成し遂げたIC-910D-Lo/PLL化の概要についてです。

       記事の内容は、
2009年(平成21年)3月に実装した写真記録を私の「備忘録」として整理したものです。
       (悪しからずご容赦ください)


       改造後、1年半の長期間連続運用(WSJT連続運用)でも、ただの1回も故障無しで・・・非常に安定して
       使用してます。


       使ったICは、今では入手困難なものですが・・・お手元のジャンクボックスに、あるかも知れませんね!?

       IC-910Dは、2000年12月に発売さましたが、後継機 IC-911Dと共に最近相次いで生産中止となりました。
       修理は「在庫部品」のある限りで、受け付けるとのことです。(アイコム東京サービス TEL 03-5847-0724)

       しかし、IC-910、IC-911は、衛星通信などの機能もあり、今でも根強い人気があり、ネットオークションにも
       出品されています。


          IC-910DのLoーPLL化に当たっては、無線機本体を壊す危険性があります。

           そこで、
マキ電機の製品をお勧めします。 製品取付も受注しておりますので、まかせて安心ですね。

          
<案内>(マキ電機株式会社HP/URL)
               
マキ電機株式会社HP ←クリック一発
               http://www.makidenki.co.jp/

          PIC(ピック)によるFBな製品で、優れものです!  (この記事の最下段に写真を掲示しました)


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        では、以下に実装手順を写真中心に解説?します。 
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          1. IC-910DのLo-PLL化部分の確認 
             IC-910D取説の86ページ(送信系統図の一部をカット)
PLL (Phase Locked Loop)の基本  ←クリック一発。



       2. Lo-PLL化ブロック図   開発 JR3REX(Tsuboi)さん

         ↓ 画像をクリックすれば拡大画面になります。更にクリックすれば拡大します


       3. Lo-PLL化部分(基準発振)回路図



        
4. UT-106(受信DSPユニット)付け外し



         
5. UX-910(1200MHzバンドユニット)付け外し




          6. CR-293(高安定基準発振水晶ユニット)付け外し





          
7. 基準発振器 CR-452 と CR-293 (2台分です)
 


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 実装の準備 2台分 
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1. 実装部のレイアウト確認 



          2. 外部から高精度基準周波数(10MHz)を接続 
            
            BNCの穴明けは切り子による回路ショートなどの不測の障害が考えられます。
あまりお勧めできません。
            
隣のFGねじ穴にSMAを取り付けできますね。



          3. BNCソケットの取付け(BNCケーブルしか無かったため)



         
 4. BNC同軸ケーブル仮接続(10MHz注入ケーブル)



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 実  装 
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          1. PLL基板スペーサー      (最終的には不使用になりました)
 
             基板は、銅板ケースに半田付けしました。


          
2. 10MHz 高安定基準周波数(GPS依存)の接続箇所



          3. スペーサーは使いませんが下部のビスは、銅ケースに使用
 
           塩ビ絶縁カバーは、銅ケースとDPDユニットの接触防止


          4. 今回のPLLーUnit電源取り出し方法(50Hz商用周波数混入心配)

             (最終的にはプラス側のに単線で取り出しました)
             (電源線の±ツイストや同軸ケーブル化は必要なかったです)


          5. PLLーUnitから30.2MHzを注入(1.5D-2V)

             (他のチップ部品に接触しないよ厳重に点検確認する)


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              Lo/PLL化ユニット製作  
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          1. TMPコネクター使用でコンパクトにまとまりました。

             2台のIC-910D用に2つ作りました。


          2. 銅ケース・塩ビカバー(内部用)・ユニット基板




          3. 写真上部・・・TPMが10MHz入力・・・右側は+5V電源コネクタ



          4. 151分周の393リセット回路ダイオードとプルアップ用

            抵抗を1kΩは「亀の子配線(IC上面)」にしました。
            これは、実験の繰り返しの便利さのためです。


          5. 同じもの(2台分)を作るのは意外と簡単でした。

            見栄えが大変悪いですが、指先だけで機械は不使用です。



          6. 銅板カバーで中身の見栄えは・・・・見えません!



          7. 今回PLLーUnitが予定位置にスッポリ収まりました。

            ケースは写真下側から上側に「通風」を確保しました。


          8. 写真右側から10MHzが手前1.5-2VでPLL-Unitに引き込まれます



          9.写真左下がBNCコネクタです。これで【完成】です。



          10. 連続3日間(72時間)の動作試験に合格★Good !でした。

             近年の、1年半の長期間
連続運用(WSJT)でも、一度の故障も無く安定して使えてます。

           ↓ 実装完了直後の実証試験(扇風機、エアコンで室温可変)






          ◆ マキ電機(株)のPLL-Unit ◆
            (コンパクトで★Good !ですね。取付も受注するそうです)


          <参考>(マキ電機株式会社HP/URL)
                マキ電機株式会社HP ←クリック一発
                http://www.makidenki.co.jp/

         ↓ マキ電機HPより

         ↓ マキ電機HPより




         《余談》


         10年前の無線機購入時、取説にCR-293は「高安定度基準発振水晶ユニット」と書かれているだけで
          TCXOなのかOCXOなのかわかりませんでしたが・・・・

          無線機メーカーに確認しましたら、ポジスター内蔵でヒーター(オーブン)を加熱制御する方式の「恒温槽型
          OCXO」であるとのことでした。

          (1)CR-452(オリジナル実装品TCXO)
             周波数安定度:±3[ppm] 以内  -10~+60[℃]
             温度 補償型 水晶発振器TCXO
              (Temperature Compensated Xtal Oscillator)

          (2)CR-293(オプション品:ポジスター内蔵恒温槽型OCXO)
             周波数安定度:±0.5[ppm]以内 0~+60[℃]
             温度 制御型 水晶発振器 OCXO
             (Oven Controlled Xtal Oscillator)

             CR-293を取り付けると±0.5ppmなので1295.700MHzなら±648.35Hzとなります。

          ---------------------------
          
参考:【ポジスターの動作と役割】
              ポジスター(PTH)は、温度が上がると内部抵抗が
              上がって電流を減らし温度を下げる。

              温度が下がると、内部抵抗が減って電流が多く流れて
              温度を上げる動作を繰り返しているようです。
              結果的にある温度に収束されて安定した温度でXtalを
              暖めている簡易な恒温槽的動作です。
          ---------------------------

          
参考:日本無線(株)甲田正夫著「長波JJY利用高安定基準発振器」
              
http://jjy.nict.go.jp/QandA/reference/Proceeding/sympo-pro6.pdf

              一般的なTCXOは±100~±1ppm程度。
              OCXOは±1~±0.01ppm 以下なので 。

              標準内蔵のTCXOも、オプションのCR-293(OCXO)も
              だいたい一般的な製品ではないかと思います。

              この数値がどの程度かというと、1000MHzで±1ppmなら±1kHzです。
              145.00MHz、433.00MHzでの±3ppmは0.43kHz、1.3kHzなんで大したことありませんが・・・
              1250.00MHzで±3ppmとなると±3.75kHzなので、これではカタログでTCXOだから安定と
              うたうのは無理そうですね。
              SSBの占有周波数帯幅が6kHzなのですから、それより広い範囲でふらつくことになります。

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          ◆ 基準発振器 CR-452 と CR-293 (2台分です)
             応急用にすべて保管してあります。




          では、この辺で・・・〆



                                        
【完】 


                                    
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